役員室にエジソンがいたら

ビジネス資産としての知的財産に対する認識を(1)ディフェンス、(2)コスト・コントロール、(3)プロフィットセンター、(4)インテグレーション、(5)ビジョン、といった5段階のレベルで表したものを「価値階層ピラミッド」といい、企業の認識がどのレベルにあるかによって知的財産マネージメントのベストプラクティスが異なることを説明しています。

数少ないビジョンレベルの企業として、IBM、マイクロソフト、ヒューレット・パッカード、ダウ・ケミカル、ロックウェルなどの名前が挙げられています。

そのうちのロックウェル・インターナショナル社の副社長であり主席知的財産弁護士でもあるジム・オーショナシ―氏は、「TRIZプロセスは、企業が発明を実行に移す前に発明を特許取得する準備を支援します。ディフェンスレベルから始まる価値階層のすべてのレベルにおいて支援することができます。しかし、ビジョンレベルではさらに重要です。なぜならTRIZを実行するプロセスは、企業が自社のナレッジ・データベースをより自覚するうえで助けになるからです。」と説明しているという。


トヨタ式A3プロセスで製品開発

トヨタの「リーン製品開発方式」の3本柱である「主査制度(チーフエンジニア制度)」、「セットベース開発」、「A3プロセス」のうち、「セットベース開発」と「A3プロセス」について書かれた本です。

 

「セットベース開発」とは、手戻りを起こさないように、構想段階で多くの代替案を並行検討し、徐々に絞り込み、最終的には1つの案に集約する方法です。

 

「A3プロセス」は、トヨタが全社・全部門で採用している報告書の様式であって、業務内容をコンパクトにまとめて報告することで、迅速なコミュニケーションと知恵の伝承とを実現できる手法です。

 

A3プロセスについては、「トヨタの生産方式」を研究しているアメリカで2008年にManaging to LearnとUnderstanding A3 Thinkingという2冊の本が刊行されたことを受け、前者の書籍を成沢俊子氏が翻訳し「トヨタ式A3プロセスで仕事改革」という名で2009年に日本でも刊行されています。

 

「トヨタ式A3プロセスで製品開発」は、トヨタの製品開発部門でA3プロセスをいかに使用しているかを知る上で最もわかりやすく記載されている本だと思います。


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「タレント」の時代

題名の「タレント」とは、いわゆるテレビやラジオなどのメディアに出演して出演料を得ることを収入源としている人のことではありません。

 

この本では、ものつくりやサービスにおける本質的な価値である「設計情報」をつくりだす有能な人材のことを「タレント」といっています。

 

「なぜアップルやグーグルやトヨタは成功し、なぜ日本の電気・半導体・通信・ITは完敗してしまったのか。それは、まさに、売れるモノやサービスを生み出す「タレント」とは何かを理解し、価値を生み、利益を生むとはどういうことかを理解していたか否かの違いだけである。」という文章にすごい重みを感じるのは私だけでしょうか。

 

是非、イノベーションに関心のある方には読んでいただきたい一冊です。


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トヨタの製品開発

 

トヨタが儲かっている最大の理由は「トヨタ生産方式」ではなく、「売れるモノを売れる時に売れる数だけ」生産できるもとにある「トヨタ主査制度」にあるといいます。

 

主査とは、担当車種に関する企画(商品計画、製品企画、販売企画、利益計画など)、開発(工業意匠、設計、試作、評価など)、生産・販売(設備投資、生産管理、販売促進)の全般を主導し、その結果について、すべての責任を負う人のことです。

 

タイトルに「ドキュメント」という文字が入っているとおり、著者自身が実際に関わったマークⅡ、チェイサー、クレスタ、コロナの製品開発の実体験にもとづいて実際の製品開発と設計についての内容が具体的に詳しく記載されていますので、主査の仕事ぶりがわかりやすく説明されています。

 

結局は、「人」ということですかね。


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プロダクトマネージメントの教科書

ホンダが「ビート」の後継車として、19年ぶりに軽自動車のスポーツカー「ホンダS660」を発売した(2015年4月)ことを覚えていますか。

 

その開発リーダーがデザイン担当として入社した26歳の若者であったことを覚えていますか。

 

この本では、ホンダの開発リーダーを「ラージプロダクトリーダー」と称し、ホンダの「アコード」の開発リーダーが、新しい「アコード」に「ビジネススーツを身にまとったラグビー選手」という製品コンセプトを採用した例をあげて、その仕事ぶりを紹介しています。

 

ちなみに、トヨタでは特定車種の開発リーダーを「チーフエンジニア」と呼んでいることは有名です。

 

1980年代に、自動車メーカーがプロダクトマネージャー制を導入するようになった理由は、国際的な競争が激化し、製品がより複雑になり、顧客要求が厳しく高度になってきたことが要因だといいます。

 

自動車メーカーだけではなく、アップルやグーグルなどのシリコンバレーの企業は、その仕組みに気づいていたのです。

 

これからでも遅くありません。モノづくり企業なら、プロダクトマネージャーを育てることを考えてみませんか。


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新たな事業機会を見つける「未来洞察」の教科書

博報堂のコンサルタントをされていた鷲田祐一氏が2007年に「未来を洞察する」という本を書かれました。

 

当時、私は出張先で立ち寄った書店でその本に出合いました。

 

「未来を予測する」ではなく「未来を洞察する」という新しい言葉に惹かれ、その日のうちに全頁に目を通したことを覚えています。

 

今回は、日本総合研究所未来デザイン・ラボでコンサルをされている方々が、不確実な未来を洞察する実践的な取り組み方や考え方について説明されています。

 

「未来洞察」の教科書という書名のとおり、新たなビジネスを創造しようというような場面で、未来がどのような社会になるかを知りたいと思ったときに活用するとよいでしょう。

 

未来を知る過程で、ビジネスに関する新たな気づきが得られことと思います。

 

イノベータ―には、必携の書ではないでしょうか。


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開発戦略は「意思決定」を遅らせろ!

この本には、ハーレーダビットソンが、2004年頃から新製品開発ペースを大幅に上げるために「リーン製品開発」を導入し、開発機種数を従来の6倍にまで引き上げ、高い成長を維持することができた、という事例が記載されています。

 

リーン製品開発は、「開発初期に多数の案を並行して検討する」「最初は製品の仕様を厳密に決めない」といった、一見すると非効率的に見える考え方だが、結果的には開発全体の効率は高まるという。

 

「どう作るか」といった生産・製造によって差別化できる時代が終わって、これからは「何を作るか」といった開発力こそが企業の命運をわけるという。

 

そこでは、単に製品開発の生産性と設計品質を向上させるという視点だけでは足りないので、一般的なプロジェクト・マネージメントの考え方では対応できません。

 

リーン製品開発の特徴は、開発生産性を上げるだけではなく、イノベーションを増やして顧客価値を高めることにあるという。

 

第一部には「リーン製品開発」導入についての架空の物語が記載されており、全体のイメージを掴むのに役立ちます。


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手戻りのない先行開発

「手戻りのない先行開発」といった魅力的な書名のこの本は、副題に記載されているように、顧客要求から製品の設計仕様を引き出すためのQFD(品質機能展開)の限界について説明しています。

 

従来から製品開発の際には顧客の声を聞くことが需要であるといわれていますが、一方では、顧客自身自分の欲しいものを知らないともいわれます。顧客の声を正しく理解して製品の仕様を決めると、結果として他社と同様な製品が完成することになり、コスト以外に製品の差別化を図ることが難しくなります。

 

そのそも、管理技法であるQFDで革新的な製品の仕様を決定すること自体に問題があったということです。

 

他社との差別化を有する製品開発を図るには、顧客の顕在ニーズではなく、顧客の潜在ニーズ(顧客自身も知らない)を探り出すことがより重要であるといわれています。

 

この本では、人間の本質特性(価値観)の特定と、その本質特性を実現する手段との組合せからなる製品コンセプトを定めることで、差別化が図れる製品開発を実現しようとしています。

 

また、差別化された製品コンセプトを実現するために、システム工学で使われている「ユースケース図」と他分野の技術を活用するための「類似法」を提案しています。


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発想を事業化するイノベーション・ツールキット

書籍のタイトルや副題にはTRIZという言葉は出てきませんが、この本にはTRIZの手法が満載です。

 

 

「テクニック4 価値指数」の「理想的イノベーション」はTRIZの「究極の理想解」のことです。

「テクニック8 9つの窓」はTRIZの「9画面法(システムオペレータ)」のことです。

「テクニック14 資源の最適化」はTRIZの「資源把握(システムアプローチ)」のことです。

「テクニック15 機能分析」はTRIZの「機能モデル」または「因果関係モデル」のことです。

「テクニック16 トレンド予測」はTRIZの「Sカーブ分析」と「進化の法則」のことです。

「テクニック25 強制連想法」はTRIZの「物理的効果集」のことです。

「テクニック26 構造的抽象化」はTRIZの「技術的矛盾と発明原理」のことです。

「テクニック27 分離原則」はTRIZの「分離の原則」のことです。

「テクニック28 物質-場分析」はTRIZの「物質-場分析」のことです。

 

つまり、この本を読めば、難しく書いてあるTRIZの専門書を読まなくとも、TRIZのツールの概要を知ってそれを使うことができる可能性があるということです。


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知財・特許業務マニュアル

先日の土曜日に新宿の紀伊国屋は行ったら、10年前に私が書いた本(共著)がありました。

 

題名は「知財・特許業務マニュアル(下巻)」といいます。

 

もともとは企業の知財部門が業務マニュアルとして使用するバインダー装丁の本でしたが(ちなみに、こちらはA4判・568頁で定価55,000円)、それを一般の書籍として編集し直したものです

 

私が書いたのは「第4章 強い発明提案書の作成と特許明細書」です。

 

従来技術(背景技術)の問題点と発明の目的を記載する「課題設定シート」と、発明の本質部分と実施例を記載する「発明説明シート」とからなる発明提案書の作成方法を具体的な事例とともに説明しています。

 

ユニークな点は、カード式の発明提案書を提案したことでしょう。

 

研究者、技術者が日常の研究開発業務を遂行する中で、メモ書き感覚で発明提案書の細目(従来技術もの問題点、発明の目的、発明の構成、具体例の構成、発明の作用、具体例の作用、発明の効果、具体例の効果)をそれぞれ別個のメモカード(マトリックスカード)を記載させようとしたことです。

 

発明提案書を書いたとことがない人や書けないで困っている人は、是非一度目を通してみてください。


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